はじめに
人間はこの地球上の支配者となって君臨しています。長く生きることが最大の幸福であるかの如く考えている人がほとんどだと思われます。しかし、人間以外の動物は、脳の老化以前に身体が老化して死亡するのに、最近の人間は脳が老化しても生き続けていることで、大きな問題を生じさせています。それが老人性痴呆、特にアルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー型認知症は現在日本の痴呆性老人150万人の半分以上、米国で500万人以上いると言われています。老人性痴呆と違い、アルツハイマー型認知症は、ひとたび発生すると、性格の変化や人格の形骸化を伴ながら、とどまることなく進行し、やがて高度の痴呆状態に陥ります。しかも原因不明で、有効な治療方法もない現状であることが、高齢者の先行きに対する大きなストレスになっていると思います。
このアルツハイマー型認知症について30年余り研究し、その原因を突き止めた2人の医学者おられます。しかし、この事実をご存じ方は非常に少ないと思われます。なぜなら世界の医学界がまだこの研究を認めていないからです。
今回、この研究について記された「アルツハイマー病はなぜ起こるのか」をじっくり読んでみましたので、その内容を説明するとともに、消極的かもしれませんが、この本にあるように、マグネシウムとカルシウムを積極的に摂って予防しておくべきではないかと思いここに記載させていただきました。
「アルツハイマー病はなぜ起こるのか」by真蔦 栄著
ここからは「アルツハイマー病はなぜ起こるのか」の本から転載させていただきました。
(真蔦 栄著 ㈱エルコ発行)
紀伊半島の奇病・牟婁病
30年にも渡り研究してきたのは、東京大学医学部元医学部長の白木博次博士と和歌山医科大学教授の八瀬善郎博士の二人です。二人は紀州古座の風土病「牟婁病」の原因解明に取組み、地道で長い調査の結果、その原因がアミトロ(筋委縮側索硬化症)であり、その多くがパーキンソン病、さらにはアルツハイマー型認知症を併発していることを発見しました。
ちなみに「牟婁病」とは、別名「足萎え病」ともいわれ、350年も前から古座町古座川や三重伊勢露川上流穂原が多発地区でした。病気の進行につれて全身の筋肉がやせ衰え、最後は手も足も萎えて動かなくなります。
同じ頃、米国領のグアム島でも神経難病が問題になっていたました。米国国立医学研究所は米国の著名な医学者は勿論、日本の白木、八瀬両博士を初め各国の有能な医学者に協力を求め、この難病の解明の調査・研究を進めました。
結果は牟婁病と全く同じ、アミトロ、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症が原因でした。問題は何故、紀州、グアムで同様の難病が発生したのかです。遺伝子調査から始まり環境要因調査まで行われた結果、共に現地の米の分析に顕著に表れたのです。その米はアルミニウムを多量に含有し、カルシウムとマグネシウムが逆に少ない特徴がわかったのです。土質と水質の歴然とした証明に他ならなかったのです。
人間の生活に不可欠で、生体元素とも必須ミネラルともいわれるカルシウムやマグネシウムの含有量が乏しく、人体には無用といわれ、毒性の方が問題視されているアルミニウムやマンガンなどが多く含まれている土壌と飲料水が意味するものは、それが存在する環境の中で生活する人間が、意識しないままアルミニウムやマンガンを日常的に摂取している事実を示しています。
牟婁病が発生した古座川や穂原の人々は、貧困で魚類などを買い求めて食することはなく、グアムのチャモロ族の人々は魚を取って食べる習慣がなかったのです。
誘因はカルシウムとマグネシウム
白木、八瀬両博士は、紀伊半島とグアム島で痴呆症によって死亡した患者2百数十体の解剖所見、分析で、神経細胞核にアルミニウムを主とする異物が多量に存在している事実を確認しています。しかも、核の中の小構造物の「核仁」の中にまで侵入しているアルミニウムも確認しています。
しかし、当たり前でのことですが、動物の神経細胞の核に必要としない物質が侵入することは極めて困難な構造になっています。すなわち、アルミニウムのような異物が、血管を経て神経細胞に入るには、神経細胞と血管をつなぐ「グリア」と呼ばれる障害を通過しなければなりません。
この問題は1年余を費やした八瀬白紙の動物実験で解明されました。
神経細胞に不可欠の生体元素であるカルシウム、マグネシウムが欠乏すると、神経細胞は体内に蓄積しているアルミニウムのような異物を呼び込んでしまう。その一方で、骨のカルシウムを動員して神経細胞に送り込む体内補給活動が進行し、神経細胞組織には異常に多量のカルシウムが溜まってくる。必然的にカルシウムとアルミニウムなどの異物は結合し、アルミニウムは本来の性能を失うことになる。アルミニウムなどの中毒そのものというより、一種のカルシウム中毒ともいえる現象で、その進行につれて神経細胞の破壊も進行し、アルツハイマー病などが発症する。
母性が握る予防のカギ
白木博士は、アルツハイマー病などの神経南部用の発病を予防する究極の方法は、バランスの取れた食生活だと言っています。が、それは、少なくとも懐胎した時からでなければならないとも言っています。
その理由は、死後解剖された二百数十体のすべての脳に奇形の神経細胞があるのを確認しているのです。1個であるべき核が、2個から3個もある奇形の神経細胞です。
「奇形の神経細胞は、生後に形成されたのではなく、胎児期のものと考えなければなりません。人間の神経細胞は、出生以前の胎児期に分裂を完了するからです。この事実の持つ意味を考えると、すべての患者が胎生時に妊婦から胎盤を介して、なんらかの影響を与えられた可能性を考えたくなります」
白木博士は、アルツハイマー病の発病は原則として老年期に入ってからだが、根源は母親の胎内にいる胎児期にある可能性が極めて高い、と指摘しています。
拮抗する二つの原因説
アルツハイマー型認知症を含むアルツハイマー病の発症原因を巡って、世界の神経学会には今、2つの大きな流れがあります。白木、八瀬両博士が30余年に及ぶ共同研究で突き止めたカルシウムとマグネシウムの欠乏を重大な誘因とするアルミニウムなどの神経細胞侵襲破壊説。もう1つは、米国のマウントサイナイ医科大学と、米国国立老化研究所の共同研究を中心とするベーター・タンパクの変性、別な言い方をすると脳のタンパク代謝異常による老人斑の精神細胞破壊説に基づく流れです。現段階ではこの2つの原因説は交わりようのない平行線上にあるのです。
(転載ここまで)
まとめ
- 白木博次博士と八瀬善郎博士の30余年に及ぶ調査・研究から(読後のまとめ)
- アルツハイマー型認知症は脳細胞のマグネシウム不足が原因で、マグネシウムが少なくなった脳細胞にカルシウムとアルミニウムが侵入し、脳細胞を破壊してしまいます。ここでもカルシウム毒が主因となっています。
- カルシウムとマグネシウムの取り方が少ないことを予備的条件として考える必要があり、そういう意味でも、バランスの取れた食生活を考える必要があります。
- アレルギー症状でも同様のことが言われていますが、母親の胎内にいる胎児期の母親の食生活が大きく影響しています。
- 現在、他にも原因説があるが、消極的予防になりますが、出来るだけマグネシウムをとることで、老後に対する不安は大きく軽減されると思われます。